複合メタル系 鮎仕掛けの作り方紹介

論争する覚悟はあるか

今日は鮎の友釣りの仕掛けについて紹介したい。
しかし友釣り業界は非常にマニアックな人が多く、皆さん当然オリジナルな仕掛けにも一家言ありがち。と言うかメッチャある。

たかが魚釣りにも色々あるのだ

「瀬を釣るなら複合メタルじゃなきゃダメ」
「泳がせはフロロが良い」
「天井糸はPEじゃなくてフロロじゃなきゃダメ」
「目印は小さい方がいい」
「つけ糸は無きゃダメ」
「ワンピースじゃなきゃダメ」

まぁ出る出る。
仕掛けのことだけでなんぼでも語れちゃうのが鮎釣りの面白いところでもあると言えるだろう。

しかし逆に変に突っ込んだり強めの主張をするとヤバい。
そんな宗教戦争じみた業界で、あえて仕掛けの作り方を紹介するのは

①初心者向けの解説がネット上に少ない
②「どうして?」と言う理由を説明する人が少ない

この2点がアユ釣りを始めた当時つらかったから。
ので今回の紹介には現時点での自分なりの理解、設計思想を多分に含む内容。
どうぞよろしくお願いいたします。

基本の複合メタル仕掛け

今回は基本的な複合メタル系の仕掛けを紹介する。
と言うか僕ほとんど複合メタルの水中糸しか使わないのでこれしか知らないのだ。

鮎仕掛けの構造

まずは鮎の仕掛けの全体的な構造について。
「完全仕掛け」と呼ばれる市販品を買うと図が載ってるけど、ざっくり描くとこんな感じ。
※書いてある長さや素材名は個人的な仕様。

号数を変えたりしながらほとんどこの構成で釣っている

竿先から順に

・天井糸
・水中糸
・下付け糸
・鼻カン周り

となっている。
場合によっては下付け糸が省略されてワンピースタイプの鼻カン周りを使ったり、天井糸と水中糸の間に上付け糸が入ったりすることもある。

天井糸の作り方



天井糸の役割

1つは折り返し構造を持っていて水中糸の長さ(傷んだ部分を切って短くしたりする場合がある)や使う竿の長さに合わせて仕掛け全体の長さを調節する役割。
もう1つは竿に巻きやすい仕掛けの上部に固くて張りのある糸を使うことで絡みつきを防止する役割。

使う水中糸の種類によっては天井糸に伸びやすい素材を使うことでクッション性を持たせるという意見もあるけど、僕はあまり重視していない。それは竿の役割で良いんじゃない?

素材選び


使用しているのはバリバスのエステル天井糸。
専用ラインは超高いのでなるべく使いたくないけど、このへんの号数のエステルラインってあんまり売ってない。知ってる方居たら教えて頂きたい。

エステルラインを選ぶ理由は非常に張りがあって絡みにくい、またナイロンやフロロと比較して伸びにくく感度が良い(気がする)という2点。

デメリットは張りが強すぎてたまに仕掛け巻きから勝手にほぐれてきてバックラッシュする点。これは仕掛け巻きをケースや袋に入れることである程度防止できる。

「エステルラインは弱い」と言う人も居るけど、あまり厳密な表現ではない気がしている。
直線強度としてはそこまで弱くないけど、ノットをしくじると簡単に(折れるように)切れる事がある…と言うのが個人的な理解。

僕は基本的に手元に伝わってくる感覚を頼りに鮎が多い少ない、オトリが底に入っている、根掛かりそう……と言った情報を得ているので、とりあえず感度優先の仕掛けを作りたい。って訳で天井糸にはエステルを採用。

※ただし終盤の大鮎河川など、場合によってはフロロカーボンに変えている。

ちなみに感度優先でPEラインを使わないのは穂先での絡み防止の役割をほとんど果たせなくなってしまうから。特に雨が降ったときなんかは顕著で、9m竿の先で糸が絡むのは本当につらい。

穂先接続ループの作り方


具体的な作り方。
まずは先端に投げ縄結びかなにかでループを作って目印を結びつける。

目印の大きさは好みでもある

そのまま目印を持って引き絞り、ループを縮める事でラインの先端に目印が残った状態になると思う。この目標は竿先に仕掛けを繋ぐループを緩めるためのただの持ち手なのでしっかり固定できていれば何でも良い。

先端に八の字結びで小さなループを作っても良いけど、仕掛けの先端にループが2つ出来ることになるのであまり美しくないし、使いにくい。

ノットがない分強度が安定する+開閉がスムースだ

そしてラインを2つに折り返して束ねた状態でPEラインの0.4号(安いやつでいい)で編み込む事で穂先のループを作る。
これで穂先への接続部分が完成。

本線を引けばループが縮んで穂先に接続され、穂先を持って目印を引けば緩む。

なおPEの編み込みはなるべくきつめ、これは穂先ループ自体あまり頻繁に閉じたり開けたりしないから。逆に折り返しの移動部分は後述するが少し緩めに編み込むのがポイント。

折り返し部分の作り方

次は折り返し部分を作っていく。
今回は9mまたは10mの竿に合わせるので天井糸の全長は4.5mで測ってカット。
まずは穂先の反対側、天井糸の終端に結びコブを作る。

コブは2重~3重の固結びで適当に

さらに結びコブの直上にPE0.4号(長めに切っておく)で編み付け。
この部分はキツめの編み込み。長さはそんなに必要ない。1cm程度。
最後は固止め結びとエイトノットで止める。瞬間接着剤は使わない。

編み込んだ部分はコブまでスライドさせる

最後に残ったPEラインを天井糸の本線側に編み込む。
この部分は先程とは逆で、緩めの編み込み。
ここは遊動部分なので、動かしたいときに簡単に動くようにしないといけない。
しかし釣りをしている最中に天井糸の折り返しがズレて仕掛け全長が伸びると面倒くさいので、長めに編み込むことでしっかりと摩擦を効かせて止めている。

緩め、長めで2~3cm程度編み込む

水中糸とのジョインターの作り方

市販されているものもあるけど、簡単なのでフロロカーボンで自作している。
と言っても、実際にはほとんどただのループ。直径数cmあればOK。
天井糸のループにフロロラインを通してエイトノットで輪にして終わり。

このように2重の八の字結びにして目印を付けると使いやすい

ただしこのループに使うフロロの号数が太すぎると張りが出すぎてチチワの接続が外れやすくなるので注意。
とりあえず1.5号くらいまでは問題なかった。

これで天井糸部分が完成。
構造としてはこの部分が一番複雑になっている。

水中糸の作り方

水中糸の役割・素材選び

(少なくとも僕の釣り方だと)なるべく流れの抵抗を受けずにおとり鮎と天井糸を接続するのが水中糸の重要な役割。
比重があって恐ろしく細い複合メタル系の糸が好きでよく使っている。
また感度という意味でもナイロンやフロロと比べると圧倒的に優れているのは素人でも分かるポイント。ただし高い…。


複合メタル系……も何も、実は今までメタビート以外ほとんど使ったことがない。
北越の中でも高比重のモデル。
今回はたまたま古いSUNLINEのハイテンションワイヤーを買ってきたのでお試しで使ってみた。

なお水中糸の長さは長めに5~6m取ることが多い。
これはよく行く河川が九頭竜川、長良川など大きめの川が多いことや、竿を寝かせて引くような形で釣ることが多い=仕掛けの大半が水中に入るため。

いつも16m巻きのメタビートを3等分、5.3mずつに分けて使っている。

編み込みの作り方

まず水中糸の上下に天井糸や下付け糸との接続用に編み込みを作る。
これまで同様にPEの0.4号で編み込み。ちなみにこの編み込み、FGノットの編み込みと全く同じ。リーダーラインを固定して両手でFGを組んでいる感覚に近い。

長さは2cm程度にする 短すぎると扱いにくい

なおエンドノット部分は必ず水中糸の先端向けにする。
これはエンドノットのコブ自体が天井糸のジョインターや下付け糸のチチワの抜け防止として働くため。

編み込んだあとは瞬間接着剤で固めてしまう。
編み込み終端からはみ出た水中糸は2mmほど残してカット。

先ほど作った天井糸側のジョインターをチチワにして、水中糸の編み込み部分に接続することで天井糸と水中糸の接続が完了するという仕組み。

目印を引くことで水中糸を外すことが出来る

Tips:水中糸のロスを減らすために

小技として、水中糸への編込みを行う場合に下の写真の様に2つの編み込みをセットで行うと水中糸の無駄な部分をほとんど出さずに編み込みを行うことが出来る。
もちろん新品水中糸への最初の編み込みや、逆に最後の編込みでは使えないが全体で10~30cm程は節約できるかも?

向かい合った編み込みの中央を切ればロスはゼロだ

水中糸への目印の取り付け

続いて水中糸に目印を取り付ける。
個人的には細めのM級目印を3色使うのが定番。

基本的に一番見やすいのがピンク、次いでオレンジ。
これらは泡立ちの上、つまり背景が白っぽい場合に見やすい印象。あとは逆光。
逆に蛍光グリーンは黒っぽい穏やかな水面などの上で見やすいので組み合わせる。


ちなみに以前目印を付けるのを忘れて水中糸だけの状態で釣りをしたことがあるが、メチャクチャつまらなかった。
鮎のアタリが目で全く見えない(基本向こう合わせなので掛けることは出来る)ので体感で楽しさが8割位減る。目印大事。

結束は「流れに沈めてたまに動いてしまう程度」

色の組み合わせと順番はすべての仕掛けで共通にしている。
これは常に同じ見え方、感覚で釣りをしたいから。この辺は完全に好み。

たまに目印を極端に小さくする人も居るけど、目印ってよく見えないと役割を果たさないので僕は比較的大きめに切っている。1.5cm程度。
逆光や夕方など、ものが見にくい状況でも視認性を確保できるサイズに調整するのが良いかなと。

下付け糸の作り方



鼻カン周りの作成については別途紹介しようと思うので、ここでは単に用意された鼻カン周りを使う前提で説明する。

下付け糸の役割

下付け糸の役割として一番重視しているのが根掛かかった時のダメージコントローラー。要はヤバいときに切れて水中糸を守るための捨て糸だ。

奮発してシーガーのリーダーを愛用している

小沢兄弟が推すワンピースタイプの鼻カン周りも使った事があって、実際に効果も感じた。(強いしシンプルでトラブルも少なく使いやすい)
一方でワンピースタイプは根掛かるとほぼ例外なく水中糸の下部で切れるので、復旧するためには再度水中糸へのPE編み込みが必要。

その分山ほど予備仕掛けを持ちゃデメリットは消えるけど、流石にそんなたくさん仕掛け作るのは面倒くさいしコストも掛かる。

下付け糸が切れてくれれば下付け糸(ただのフロロリーダー)と鼻カン周りに替えるだけで釣りが再開できて手返しも良い。

下付け糸の作り方

これは本当に「作り方」などと言うのもおこがましく、20cm程度のフロロラインの上下にエイトノットでチチワを作るだけ。シンプルイズベスト。

下付け糸と鼻カン周り、水中糸間の接続は一般的なチチワ

あとは鼻カン周りを下付け糸に接続し、掛け針をセットすれば現場で使える。

以上が基本的な仕掛けの構造、作り方。
詳しい結束等々は図解がしんどいのでラインメーカーのサイト等を参考にして頂けると良いかと思う。

各部の号数

あと議論を呼ぶのが各部の号数、太さだろうか。
これも人によって意見が沢山あると知りつつ、僕は基本的に下記のロジックで使う糸の太さを決めている。

1. 竿に対して糸が強すぎない(竿が折れるので)
2. 多少ラフにやり取りしても切れない
3. 上記を満たす中で可能な限り細く

鮎の友釣りの場合、仕掛けを切られるデメリットが他の釣りに比べて非常に大きい(掛かり鮎とおとり鮎の両方が失われるロス&複合メタルの場合仕掛けが高価&復旧時間がかかる)ので、基本的には細仕掛けは使わない派。

これは試合に出るときも同様で、極端な細仕掛けでトラブって時間を失うリスクを避けたい、という思想が強い。


「おとりの弱りが早い」「流れに入らない」と言われる部分はオモリを使用して相殺するイメージで調整している。

この辺は釣り方ややり取りの仕方、行く川などによって相当変わるので自分なりに良いバランスの仕掛けが出来てくるのではないかと思う。

※上記はあくまで2022年現在の仕様。上達、心変わり、行く川の変化、老いなどによって仕様が変わってきたらまたアップデートしようと思っている。

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